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  • 2018/02/27 15:45

    「焙煎用の生豆は、パーチメント(皮みたいなもの)がありません。ですから発芽しません。」とか、「一晩で発芽しました」等々。

    あまりにもいい加減な情報が多すぎる(他のこともそうですが)ネットの海。自分でも半信半疑。だったらやってみればすぐわかる。これが最終型です。ずばり「発芽します」tagとかつけたいです。ネット検索で嘘の情報は抹消して欲しいです。

    結論 コーヒー焙煎用の生豆(なままめ)は、発芽します。しかも一晩で。(きっぱり)

    正直やるまでは、発芽しないと思っていました。
    その辺のチェーン店で生豆から焙煎して販売しているお店の豆でも多分発芽します。多分と書いたのは、どういう品質の豆かわからないからですが。そこまでは保証できません。

    ではどうやって発芽させるか。
    ここで、少し説明を挟むと、コーヒーの実から種(生豆)を取り出す工程は大きく分けると二つあります。一般的に「ナチュラル」と「ウオッシュド」と言われており、「ナチュラル」は実をそのまま乾燥させ、脱穀機の様な物を用い中の種を取り出します。一方「ウオッシュド」は、収穫後の実から周りの果肉を取り除き、果肉の下に現れるミューシレージと呼ばれる部分を、さらに水の中で発酵させる、もしくは機械で強制的に取り除き、種(生豆)を取り出します。
    なぜ、この説明を挟むかというと、発芽率に影響があると考えたからです。私はコーヒーノキを育て実を収穫したことはありませんが、豆の中には樹上乾燥(木につけたまま干からびさせた)豆があるくらいなので、確実にこちらの方が自然に近い=発芽率が高いと考えました。
    さて、実験してみました。今回使用する豆は当店でも定番の、ブラジル トミオフクダ ムンドノーヴォ ドライドオンツリー(樹上乾燥)簡単に言うと、ブラジルでトミオフクダさんがムンドノーヴォという品種を樹上で乾燥させ収穫しました。という豆です。もう一種類は、コロンビア シエラネバダ JASオーガニック フェアトレードです。簡単に言うと、コロンビアのシエラネバダ地区で農協さんがあっちこっちの農家さんからかき集めてきて、ある一定の基準(JASオーガニック)を満たした物を、ある一定の金額以上で商社に流した豆です。フェアトレード(適正な価格での取引)は農協さんにとっては適正ですが、農家さんが適正な価格を受け取っているかは疑問です。
    ブラジルは樹上乾燥の時点で、「ナチュラル」です。一方コロンビアは「ウオッシュド」です。コロンビアの綺麗な酸味は「ウオッシュド」の方が出やすいとされています。

    1,同じ重さ(数は数えていません)の豆はシャーレに取ります。
    2,水(湯冷し常温)を注ぎます。なぜ湯冷しかというと、水道に含まれる塩素は、豆の表面の細菌叢を壊すと判断したからです。
    3,部屋に放置。部屋の温度は8度から20度前後。

    さて一晩、正確に言うと水を入れたのが夜の11:50分。確認したのが、朝7:15分。
    芽出てました。数は数えていませんが、確実に出てました。
    生豆は二倍くらいに水を吸って膨らみ、水はやや茶色。
    しかも、予想に反して「ウオッシュド」の方が確実に発芽率高いです。
    この辺はもう少し詳しく調べてみないとわかりませんが。


    写真1)左が「ウオッシュド」右が「ナチュラル」


    写真2)芽がで始めた豆。15g中、一晩で芽が出たのは5粒ほど。

    ある一定時間以上豆を水に浸していると、水が茶色くなっていきます。よく耳にする「洗うとコクが落ちる」と言っているロースターさんは、水に浸した豆の事を言っているのでしょう。私は生豆は洗いますが、「洗う」=「浸す」ではありません。
    ちなみにこれは想像ですが、豆の中には発芽を抑制する成分が含まれているのでしょうか。浸した水が茶色くなる成分。
    それが水に溶け出すと、生豆の中では発芽できる状態になる。
    ネットでは、「この茶色の水はコーヒーの香りです」と書いてあったりしますが、「しません」(きっぱり)。焙煎から間違っているコーヒーでは同じ匂いしますが。生豆の青臭い匂いです。コーヒーが冷めた時にこの匂いがしたら、それは焙煎が失敗している証拠です。

    そもそも私がしていることは「車輪の再発明」なのでしょう。きっと私が知らないだけで世界の常識です。ですので実験はここまでで終了します。日本の中でも豆を育てている方もおられますが、はっきりと「美味しくない」と言っておられました。もし本当に「こだわる」のであれば、現地で農園を経営すれば良いのです。

    さて、いつの時代も少しでもおいしいコーヒーを飲みたいがために人々は様々な工夫をしてきましたが、ブラジルからブルーマウンテンができるわけないのです。スーパーで198円で売られている牛肉をどんなに頑張っても、A5ランクの和牛にはなりません。元の品質のみでコーヒーの味は決まります。生豆7割、焙煎2割、抽出1割です。